当院の待合室に置いていたり、みなさまに是非おすすめしたい書籍や絵本を紹介していきます。
第1回目は「鉄塔少年Hの遡上」です。
本書は、主人公のお父様が運営されている「小川家の鉄塔の見えるJazzyな生活」というブログから、「不思議くん」のエピソードをチョイスして20歳までの成長の過程を1冊の本にまとめたものです。
鉄塔に強いこだわりを持つお子様のお話ですが、文章も大変読みやすく、ご家族のお子様への愛情をとても感じる内容で、読んでいると心がぽわーっととても温かくなるのがわかります。
主人公であるお子様と鉄塔との出会いから始まり、家族旅行の様子、鉄塔の専門家との交流まで、読み進めていくにつれて読者までつられて鉄塔に詳しくなり、まるで自分まで鉄塔が好きになっているのではないかとすら思えてきます。本書読了後は、道を歩いていると「これは男鉄塔か」とか「これはJR鉄塔か」と、無意識に考えてしまう自分がいます。
鉄塔に限らず、特定のものに対するこだわりのあるお子様は多いと思います。それが科学やスポーツだったら才能として褒められたり認められたりするのに、周囲に理解できないもの(その中でも特にマイナーなもの)に対するこだわりは困りごととして捉えられることがあります。
しかし、たとえそのこだわりの内容が周囲には理解できなくても、本人の好きなことを尊重してのびのびと成長を見守る、そんな親の姿を本書は示してくれていて、多くの子育てにお悩みの方に力を与えてくれるのではないでしょうか。
発達障害のお子様の子育てにお悩みの方はもちろん、読み物として大変おもしろい1冊ですので、すべての方に手に取って頂きたいおすすめの1冊です!