【本の紹介】もふもふライリーとちいさなエリザベス

みなさんはTORCH症候群という病気を聞いたことがありますでしょうか?

TORCHとは、トキソプラズマ症(Toxoplasmosis)、梅毒などその他(Others)、風疹(Rubella)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus)、単純ヘルペスウイルス(Herpes simplex virus)といった、妊娠中に母体が感染してしまうと胎児に脳などの先天異常を引き起こしてしまう可能性のある病原体の英語の頭文字を取って繫げたものです。

風疹の先天感染は、しばしばワクチンを受けましょう、という啓発とともに語られることが多いのでご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、その他の病原体も妊娠中に感染に気をつけるべきものとして非常に重要です。

本書は、サイトメガロウイルス等による母子感染症についての物語を描いた書籍『エリザベスと奇跡の犬ライリー』を、先天性トキソプラズマ感染症と先天性サイトメガロウイルス感染症の患者会である「トーチの会」がクラウドファンディングを活用して絵本化したものです。

絵本の中ではエリザベスが何の病気なのかはわかりません。障害があり頻繁にけいれんを起こしてしまうということしか書かれていません。

ただ、愛犬ライリーの目線で語られるエリザベスとその家族と過ごす心温まるお話は、TORCH症候群という病気を知っていてもいなくても、障害をお持ちの方と関わることがある方もない方も、誰の心にもきっと響くものがあるはずです。そこには、障害があり大変ながらも愛する家族と一緒に過ごす幸せな時間が流れているからです。

本書をきっかけに、障害のあるお子さんと過ごしている家族の物語、そしてTORCH症候群、母子感染症というものについてほんの少しでもよいので関心を持っていただければ、と思います。

当院ではご寄贈いただきました本書を待合室に母子感染症防止啓発パンフレットとともに置いておりますので、ご来院の際には是非お手にとってご一読ください。

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